昔、作成した個人再生の原稿です。このサイトは原稿の保管用のサイトです。



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 自己破産と財産処分

■ 自己破産と財産処分
  債務整理の方法には、自己破産・個人再生・任意整理・特定調停の方法があります。そして、・返済が可能の場合には、任意整理(貸金業者と交渉して支払を分割払いにします)、特定調停(裁判所において、貸金業者と交渉して支払を分割払いにします。)の方法を選択しますが、他方、返済が不可能の場合には、自己破産(裁判所に申立てを行い債務が全部免除されます。)、個人再生(裁判所に申立てを行い債務が一部免除されます。)の方法を選択します。自己破産の場合には債務が全部免除される代わりに財産は処分換価されて債権者に配当されます。他方、個人再生の場合には清算価値原則により破産した場合よりも多くの金額を返済する必要があるため財産が多い場合には最低弁済額が上がります。そのため、財産が多い場合には個人再生であっても返済は厳しくなります。
 財産を処分しない債務整理の方法としてはやはり任意整理があげられます。任意整理は当事者間の合意による方法のため、当事者間の合意が得られれば返済方法をどのようにも決めることができるからです。一昔前でしたら、任意整理を行えば、直ちに債務が減額して場合によってはお金(過払い金)が戻ってくるようなこともありました。すなわち、貸金の利息に関する法律については利息制限法と出資法があります。利息制限法は利息の制限は15〜20%以内と定められていますが、それを超える利息の場合にも罰則はありません。他方、出資法は利息の制限は29.2%と定められており、それを超えた利息の場合には罰則があります。そのため、貸金業者は罰則のない利息制限法以上だが、罰則のある出資法以下の利息で貸付を行っていました。ところが、そのような利息は、罰則の適用はなくとも、利息制限法の限度を超えるため、裁判所は超過する部分の利息については無効との判断をしました。例えば、利息25%で100万円借りて 、一年後に125万円返済したとします。ところが、利息制限法の制限利息は年15%のため、本当は115万円返せばよかったことになります。そこで、裁判所は利息制限法の制限を超える125万円と115万円の差額の10万円については無効なので支払わなくてよいと判断されました。そのため、まだ125万円返済していない場合には、115万円返済すればよいことになるため債務は減少します。これが任意整理です。他方、すでに125万円返済してしまった場合には10万円返してもらうことになります。このように債務は減少して場合によってはお金も戻ってきます。もっとも、現在では出資法が改正されて上限金利は20%に引き下げられています。そのため貸金業者も20%以下の利息で貸し付けを行うようになっています。そのため、債務は減少しにくく過払い金も発生しづらくなっています。
 そのため、どうしても債務の返済が困難な場合には、自己破産により財産を処分することもやむを得ません。

 自己破産と自由財産

■ 自己破産と自由財産
 自己破産とは、「支払不能又は債務超過にある債務者の財産等の清算に関する手続等を定めること等により、債務者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に処理し、もって債務者の財産等の適切かつ公平な清算を図るとともに、債務者について経済生活の再生の機会の確保を目的とする。」(破産法1条)ものです。すなわち、「債務免除」してもらう代わりに、「財産の処分」を行い、もって、経済的再生を図る手続です。 
 借りたものは返す必要がありますが、どうしても返せない場合もあります。その場合には免除してもらう必要があります。そうしなければ、債務者は経済的に立ち直ることができません。そのため、破産すると債務は免除されますが、その反面、債務者が財産を有している場合には、その財産をもって債権者に返済をする必要があります。もっとも、財産を失うといっても一定の財産は残されるため無一文になるわけではありません。これが自由財産です。一定の財産が残されなければ、すぐに収入を得られるような場合でない限り、たちまち債務者の生活は成り立たなくなり、自己破産の目的である債務者の生活の再建が果たせなくなるからです。債務者に残される一定の財産が自由財産です。
 まず、自由財産は破産法上は原則として現金99万円とされています。次に、差押禁止動産も自由財産に含まれます。差押禁止動産とは生活に必要な家財道具等です。そのため、破産しても最低限度の生活は保障されます。さらに、給料の原則として4分の3も自由財産とされています。そのため、給料のすべてを取り上げられるわけではないので今後も生活していくことが可能になります。また、給料と同様に年金を受給している場合は年金や生活保護を受給している場合は生活保護も自由財産に含まれます。
 もっとも、自由財産が問題になるのは、破産の場合においても管財人型の場合であり同時廃止型の場合には問題になりません。けだし、同時廃止型の場合にはそもそも債権者にめぼしい財産がないため財産の処分換価自体が行われないからです。そのため、全く財産がない場合は問題ないのですが、多少は財産がある場合の管財人型と同時廃止型の振り分け基準が問題になります。振り分け基準は手続を行うそれぞれの裁判所において異なります。
 さらに、自由財産は拡張手続において拡張することも可能です。 

 自己破産と手続比較

■ 自己破産と手続比較
 まず、自己破産の場合には、債務は免除されますが財産は処分されます。他方、個人再生においては、「債権者全員の同意は不要」であり、「返済計画に従った債務の一部弁済」すれば残りの債務は免除されます。すなわち、個人再生においては債権者の同意は不要のため強制的に債務を減額できます。これは自己破産の場合も同様です。他方、破産が債務の全部免除であるのに対して個人再生は債務の一部免除にとどまります。個人再生の場合には住宅資金貸付債権の特則により住宅ローンを支払中の自宅を維持することが可能になります。
 自己破産の申立てに当たっては、まずは、申請書を裁判所に提出する必要があります。そのため、申請書を作成して申し立てる際に必要な添付書類を収集したり作成する必要があります。不備があると補正となるため注意が必要です。
 申立後は裁判所において面談があります。面談は主に裁判所に提出した書類に基づきなされるため、破産の申立ての添付書類の陳述書等はしっかり書いておく必要があります。なお、自己破産の場合の書類の作成は裁判所提出書類作成業務として司法書士の業務の一つです。その後、裁判所が破産が妥当と判断すれば、破産の決定がなされ、官報に公告されます(同時廃止型)。なお、財産がある場合には、破産管財人による任意売却や競売、配当が行われます(管財人選任型)。管材人選任型の場合には、管財人の報酬が必要になるため破産申立ての際の費用が高額になります。破産の決定に続いて免責の決定がなされれば債務は免除されます。免責不許可事由があっても裁量免責といった救済もあります。
 個人再生の種類には、小規模個人再生と給与所得者個人再生があります。手続の要件や効果が異なりますので、まずは、どちらの手続で行うかを選択する必要があります。
 個人再生の申立てに当たっては、自己破産の場合と同様に申請書を裁判所に提出する必要があります。そのため、申請書を作成して申し立てる際に必要な添付書類を収集したり作成する必要があります。もっとも、個人再生の場合には清算価値や可処分所得の計算も必要になるので手続は煩雑になります。なお、個人再生の場合の書類の作成は裁判所提出書類作成業務として司法書士の業務の一つです。そして、裁判所の開始決定により手続が始まります。
 個人再生は、返済計画に従った返済を行うため、そのための返済計画を立てる必要があります。そのため、再生計画案を作成し、それを裁判所に提出する必要があります。再生計画案については、債権者において書面決議や意見聴取がなされた後、裁判所において再生計画の認可がなされます。その後は、計画通りに返済すれば残りの債務は免除されます。

 自己破産と申立費用

■ 自己破産と申立費用
 個人破産の費用としては、印紙代・郵券代及び官報公告費(予納金)、さらに、破産管財人が選任される場合には予納金が必要になります。印紙代・郵券代及び官報公告費については高い金額ではありませんが、破産管財人選任の予納金については、破産管財人に選任される弁護士に対する報酬となるものですので安い金額ではありません。もっとも、処分するような財産がないような場合には管材事件ではなく、同時廃止事件となり破産管財人は不要となりますので破産管財人選任の予納金は不要ですみます。もっとも、破産手続きを司法書士等に依頼する場合には司法書士等に対する報酬が必要になります。破産手続きは処分する財産のない同時廃止事件の場合であっても、どんなに急いでも準備を始めてから債務が免責されるまでには数カ月かかるため司法書士等に対する報酬も十万から二十万円といった高額になります。しかし、破産を考えている人にとっては、毎月の返済さえ困難であるのに十万円や二十万円といった現金を用意することは困難です。そこで、破産の際には破産の申立ての費用をどう工面するかが大きな問題となります。
 破産の申立ての費用を工面する方法の一つとして民事法律扶助を利用することが考えられます。民事法律扶助とは、収入や財産に乏しく必要があるのに弁護士や司法書士に相談や依頼ができない場合に、無料相談や弁護士や司法書士に対する報酬を立て替えてもらえる制度です。民事法律扶助の内容には三種類あり、無料で法律相談を受けられる「法律相談援助」と訴訟において代理人となる弁護士や司法書士(司法書士の場合には簡易裁判所における訴額が140万円以下の事件のみ)に対する報酬を立て替える「代理援助」と裁判所に提出する書類を作成する際に司法書士等に支払う報酬を立て替える「書類作成援助」があります。そして、破産の申立ての際には、司法書士は破産の申立書を作成することになるので、民事法律扶助を利用する場合には「書類作成援助」として司法書士報酬を立て替えてもらえることができます。
 なお、民事法律扶助を利用するためには、そもそも民事法律扶助制度は資力の乏しい人の裁判手続を利用する機会を保障するものであるため、収入や財産が一定の額以下であることが必要になります。もっとも、破産を検討する際には収入が十分でなく財産をもっていないことが多いと思われますので民事法律扶助の利用には支障は少ないと思われます。そして、民事法律扶助は費用の立て替えですので、立て替えてもらった必要は返済する必要がありますが、返済が困難の場合には猶予や免除の制度もあります。そのため、個人破産の申立てを行う際には民事法律扶助の利用も検討してみるのがよいと思われます。

【個人再生/破産】


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