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 住宅資金特別条項の協議

■ 住宅資金特別条項の協議
 当然のことながら住宅資金特別条項を定めるに当たっては、住宅ローンの債権者である金融機関との事前協議は欠かせません。住宅ローンについては一部免除されずに全額の返済を行うことになります。しかし、再生計画に基づく返済が滞った場合にはそれには住宅ローンの支払が大きく影響します。また、一部免除されない住宅ローンの支払は債務者にとって大きな負担となるためです。法律上も民事再生法規則第101条においても、債務者は住宅資金特別条項を定めた再生計画を提出する際にはあらかじめ住宅ローンの債権者である金融機関とあらかじめ協議するようにと規定されています。さらに、住宅ローンの債権者である金融機関は債務者に必要な助言をするようにとも規定されています。
 また、住宅資金特別条項を設けた場合には住宅ローンの債権者である金融機関等の意見聴取を行う必要があり、金融機関等は意見を述べることができます。住宅資金特別条項を定めた場合には住宅ローンについては一部免責されずに全額支払うことになりますが、だからといって「ちゃんと支払うんだからば文句はないだろう」ではとおりません。個人再生を行うことは一部とはいえ債務を免除してもらうことであり、破産の場合と同様に事故情報に掲載されることであるため、債務者は経済的信用を著しく損ないます。そのため、債務者の支払能力は全額を支払ってもらえる住宅ローン債権者である金融機関にとっても重大な関心事です。にもかかわらず、「ちゃんと支払うんだからば文句はないだろう」ではとおりません。金融機関には再生計画について同意権がなく意見を聴取して意見を述べることができるだけだとしても、金融機関の協力が得られないような場合にはそもそも今後返済を続けていけるのかが疑問になりそれは再生計画の行方を左右しかねません。金融機関には同意権がないとしても金融機関の意見は再生計画の認可に大きな影響を与えます。そのため、事前協議を行わなかったため再生計画が不認可となる可能性もあります。
 さらに、住宅資金特別条項の種類によっては、返済期間等を見直す場合もあり、その際には住宅ローンの債権者である金融機関の合意は欠かせません。そのためには、やはり事前相談は欠かせません。事後相談では金融期間の合意を得られずに再生計画自体が不認可となる可能性もあります。さらに、そもそも住宅ローンについては個人再生の手続が開始された場合にも裁判所の許可を得たうえで支払うことができるため、やはり金融機関との事前の協議は欠かせません。さらに、事前に協議しないと抵当権を実行される恐れもあります。 

 住宅資金特別条項の原則

■ 住宅資金特別条項の原則
 住宅資金特別条項の適用対象となる住宅資金貸付債権とは以下の要件を満たす必要があります。@住宅の建設若しくは購入に必要な資金又は住宅の改良に必要な資金の貸付けによって生じた債権であること、A分割払いの定めのある再生債権であること、B当該債権又は当該債権に係る債務の保証人の主たる債務者に対する求償権を担保するための抵当権が住宅に設定されていることが必要になります。ようするに、住宅ローンであればおよそこれらの要件を満たすと考えられるため、ほとんどの住宅ローンは住宅資金特別条項の適用対象となると考えられます。
 もっとも、問題になる場合として、借換え等があげられますが、借換えを行ってもその借り入れが住宅の建設等に必要な資金の貸付けであることには変わりがなく、さらに、分割払いであることから住宅資金特別条項が適用されると考えられます。そもそも、借換えの場合を住宅資金特別条項の適用対象外とすることは、生活の基盤である住宅を維持して債務者の生活再建を図ろうとした法の趣旨にも反すると考えられます。
 また、住宅ローンを組む際には住宅の敷地にも抵当権が設定されることが多いため、住宅の敷地にも住宅資金特別条項は及びます。そのため、抵当権の実効により競売がされないように住宅の敷地についても競売手続の中止命令が及びます。
 ちなみに、住宅資金特別条項が適用される「住宅」も法律により規定されています。そして、その要件は、@個人である再生債務者が所有する建物であること、A再生債務者が自己の居住の用に供する建物であること、B建物の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されること、C上記の要件を満たす建物が複数ある場合には、これらの建物のうち、再生債務者が主として居住の用に供する一の建物であることが必要とされています。そのため、純粋に居住用でない事業所兼用の自宅については住宅資金特別条項が適用される「住宅」に当たるのか否かが問題になります。要件Bにおいては、「建物の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されること」とされていますが、実際には居部分も事業所部分も曖昧になりやすいため問題となります。そもそも法の趣旨は再生債務者が生活再建を果たすに当たっては、その生活の本拠となる住宅は生活再建にとって欠かせないものであることから、特別に処分しなくとも済むようにしたことにあります。そのため、建物を完全に事業用として使用しており、他に住居があるような場合はともかく、単に事業所兼用だからといって、単にそれだけの理由では住宅資金特別条項が適用される「住宅」から除かれるものではないと考えられます。

 住宅資金特別条項の例外

■ 住宅資金特別条項の例外
 住宅資金特別条項の適用対象となる住宅資金貸付債権は法律によって規定されていますが、住宅ローンであればおよそこれらの要件を満たすと考えられるため、ほとんどの住宅ローンは住宅資金特別条項の適用対象となると考えられます。もっとも、住宅ローンであっても住宅資金特別条項の適用されなくなる場合もあります。
 まず、保証人が保証債務を履行して住宅ローン債権を法定代位により取得した場合には、保証人はただちに主債務者に対して弁済を求めることができるため、保証人が法定代位により取得した住宅ローンについては住宅資金特別条項の適用がないのが原則です。けだし、住宅ローンについては保証会社の保証が付いていることが多く、この場合に住宅資金特別条項の適用しないことは、住宅資金特別条項の規定を設けて債務者の生活の本拠たる住宅を維持しようとした法の趣旨を損ないます。そのため、法律により、保証会社が保証人の場合には、代位弁済後6ヶ月以内に再生の申立てがなされた場合には、例外的に住宅資金特別条項を定めることが可能です。そして、再生計画の認可決定が確定されると保証債務の履行はなかったものとみなされることになり、保証債務は復活します(巻き戻し)。
 また、住宅資金特別条項は、対象となる住宅に住宅ローン以外の後順位の抵当権等が設定されている場合には利用できません。そのため、事業資金の担保のために住宅に抵当権が設定されているような場合には住宅資金特別条項を利用することはできなくなります。けだし、対象となる住宅に住宅ローン以外の後順位の抵当権等が設定されている場合には、住宅資金特別条項を利用したしても、後順位の抵当権等が実行された場合には住宅を失うことになり、住宅資金特別条項が無意味なものとなるためです。
 最後に、再生手続が開始されるとと債権者間の公平を図る必要があるため債務の弁済は禁止されます。そのため、住宅ローンの支払いも行うことができなくなりますが、すると期限の利益を喪失したり、遅延損害金が発生する恐れがあり、さらには、抵当権が実行されて自宅を失う恐れがあり、それでは法が特に住宅資金特別条項の規定を設けた意味がなくなるため、債務者は住宅資金貸付債権については裁判所から弁済許可を受けてこれまでどおりに支払うことができます。なお、弁済許可を受けるためには、弁済許可の申立てを行う必要があります。

 自己破産と債務免除

■ 自己破産と債務免除
 借金を整理する方法には、自己破産・個人再生だけでなく任意整理・特定調停の方法もあります。債務整理を行うに当たっては、借入金残高や毎月の支払い可能額を考慮したうえでこれらの方法を選択して行います。選択に当たっては、まずは借金の返済が不可能か返済が可能かを検討する必要があります。まず、返済が不可能の場合には個人再生や自己破産の方法を早急に検討する必要があります。他方、返済が可能の場合には、任意整理や特定調停の方法を検討する必要があります。そして、返済が不能の場合には債務者の生活を再建する見地からは、債務は一部または免除せざるを得ません。そこで、自己破産の場合に債務は全部免除され、個人再生の場合には債務は一部免除されます。なお、借入残高や毎月の支払い可能額から判断して明らかに返済が不可能であるにもかかわらず、単に破産等はしたくない等の理由で支払を続けても結局は破産等をざるをえなくなる可能性が高いので注意が必要です。
 一昔前でしたら、どうしても債務の返済ができないので自己破産して債務を全部免除してもらうしかないと考えていたが、引き直し計算したところ債務は大幅に減少してそれどころかお金が戻ってきたということもありました。しかしながら、現在ではもう過払い金は設定しにくくなっています。けだし、貸金業法は平成18年12月に改正され、平成22年6月18日から完全に施行されています。なお、貸金業法とは、貸金業者が貸し出しを行う際のルールを定めた法律です。改正貸金業法では次のような改正がなされています。@金利の引き下げ、A総量規制、また、その他にも貸金業務取扱主任者の営業所への配置などといった改正もなされています。そして、貸金業の改正に伴い貸金業者は金利を引き下げており、それからすでに数年たっていますので、引き直し計算しても債務は減少しにくく過払い金も発生しにくくなっています。そのため、過払い金が発生するような案件はよほど昔に貸金業者からお金を借りて完済したが今現在まで過払い金返還請求をしていないような案件に限定されます。そのため、どうしても債務の返済ができなければ自己破産等により債務の全額を免除してもらうのが生活再建への近道になります。
 なお、自己破産の場合も個人再生の場合も債務を免除される点は同様であり、それにより、債務者は経済的信用を著しく損ないます(借りたものを返さないことには理由を問いません。病気等の治療のためにお金を借りた場合もギャンブル等に使うためにお金を借りた場合も同じ扱いになります)。そのため、自己破産の場合も個人再生の場合も債務者は事故情報に記載されることになります。そのため、実質的なデメリットはどちらも同じようなものです。

 自己破産と非免責債権等

■ 自己破産と非免責債権等
 自己破産すると債務が免除されるのが原則ですが破産しても全ての債務が免除されるわけではなく非免責債権は免責されません。また、免責不許可事由があると免責されないことがあります。
 まず、以下の債務については、公平の見地より債務者は破産しても免責されません。破産する際には税金も滞納していることがほとんどだと思いますので、まずは役所に返済方法については相談してみる必要があります。@税金等、A賠償金等、B養育費等、C使用人の給料等、D知りながら債権者名簿に記載しなかった債務、E罰金等です。
 次に、以下のような場合には、たとえ借金で苦しんでいてもその者は法で保護するに値しないため免責されないことがあります。しかし、それでも破産しか方法がなければ、裁量免責もあるので破産を検討する必要があります。@債権者を害する目的で財産を隠した、A破産手続きを遅れさせるために新たに借金した、B一部の債権者のみに弁済した、C借金の原因が浪費やギャンブルの場合、D破産すると分かっていながら信用取引で財産を得た、E業務帳簿等を偽造した、F虚偽の債権者名簿を提出した、G破産手続きに協力しない、H不正の行為により破産管材人の業務を妨害した、I以前破産してから7年たっていない、J破産法違反がある場合です。
 財産を隠して破産した場合には、免責不許可だけでなく詐欺破産罪となり懲役または罰金もしくは併科となります。「財産を隠した」場合には、財産を隠した場合だけでなく譲渡等したような場合もこれに当たります。さらに、詐欺破産罪が確定すると免責が取り消されることもあります。そして、免責が取り消されると元通り債務の返済をする必要があります。 このように、破産の申し立てをする際に、「これくらいはいいだろう」や「ばれないからいいだろう」と自分の都合のいいように解釈し、独断で判断すると後から大変なことになることがあります。また、単なる記入漏れであり、詐欺破産罪とならない場合でも、補正や追完書類が必要になる場合もあります。
 債権者一覧表に漏れがあった場合ついては、虚偽の債権者名簿の提出は免責不許可事由になります。また、知りながら債権者一覧表に記載しなかった債務は非免責債権になります。免責不許可事由や非免責債権になると債務は免除されず、これまで通り債務の返済を続けていくことになります。再度の破産の申立てはできません。

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