昔、作成した個人再生の原稿です。このサイトは原稿の保管用のサイトです。



 P3 個人再生3



 給与所得者個人再生の要件

■ 給与所得者個人再生の要件
 小規模個人再生手続においては、再生計画が認可されるためには債権者の同意が必要になります。他方、給与所得者個人再生手続においては債権者の同意は不要とされています。そのため、債権者の数が少なく(1人もしくは2人程度)、万が一にも反対される恐れがある場合には給与所得者個人再生手続の方が再生計画が認可されやすくなります。これが給与所得者個人再生手続の大きなメリットです。もっとも、給与所得者個人再生手続においては安定収入の要件において変動が少ないことが必要とされるため小規模個人再生手続よりも要件が加重されています。さらに、返済総額の要件として可処分所得の要件も加重されているため、返済総額が小規模個人再生手続よりも大きくなる可能性があります。もっとも、あえて小規模個人再生手続を利用してたった1人の債権者の反対により再生手続き自体が否決される危険があることを思えばやむえない側面もあります。さらに、給与所得者個人再生手続においては、以前に破産しており免責の日から7年が経過していない場合には、申立てが認められないというデメリットがあります。他方、小規模個人再生手続においてはこのような制限はありません。
 なお、手続が若干異なるとはいえ給与所得者個人再生手続も小規模個人再生手続も同じ個人再生手続です。そのため、基本的な部分は共通します。例えば、非減免債権共通です。すなわち、個人再生の手続を行えば債務が一部免除されるのが原則ですが、全ての債務を一部免除すると、債権の性質によっては債権者にとって不公平な結果となる場合があります。そのため、個人再生の手続を行っても、全ての債務が免除されるわけではなく、非減免債権は免責されません。非免責債権の具体例としては、@税金等、A再生債権者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償債権・再生債務者が故意又は重大な過失により加えた人の生命又は身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権(賠償金等)、B養育費等、C使用人の給料等、D知りながら債権者名簿に記載しなかった債務、E罰金等があります。もっとも、非減免債権であっても当該再生債権者の同意がある場合には減免される場合があるので、まずはよく検討してみる必要があります。
 このように、給与所得者個人再生手続、小規模個人再生手続とも要件や最低弁済額は若干異なっても、基本部分は共通するため、その違いは些細なものかもしれません。

 給与所得者個人再生の効果

■ 給与所得者個人再生の効果
 給与所得者等個人再生手続においては、小規模個人再生手続と異なり、再生計画に認可について債権者の同意が不要である点が特徴です。もっとも、債権者においてはいくら返済してもらえるかが重大な関心事のため同意不要であっても債権者一覧表への正確な記載は必須です。債権者一覧表については、まず、債権者一覧表を提出することにより、債権者の債権届出については提出したものとみなされます。その上で、債権者一覧表から漏れていた債権者は債権者届出をすることになります。しかし、債権者一覧被表に漏れがあることは、手続に支障をきたし、さらには、他の債権主への迷惑にもなることから、届出のない(債権者一覧表に記載のない)債権者は免されないことになります。なお、債権者においても、債権者一覧表から漏れていることを知った場合には、債権届出をする必要があり、をその責めに帰することのできない事由により、届出ができなかった場合には、その事由消滅後1ヶ月以内に限り届出を追完できます。債権者の届出に対しては、債務者は届けられた債権額等が異なるような場合には異議を述べることができます。そして、届けられた債権額等が異なっていたとしても異議がなければそのまま確定してしまいます。また、後に債権額が変動することが予想されるよう場合には異議を留保します。そして、異議が述べられると、裁判所において再生債権の評価の手続が行われることとなります。なお、非免責債権の債権者も債権者一覧表への記載が必要です。そのため、手続外での勝手な返済は禁物です。
 給与所得者等個人再生手続においては、小規模個人再生手続と異なり、最低弁済額の要件として可処分所得2年分の要件が加重されています。しかし、債務の5分の1以上または100万円、かつ、清算価値以上の要件は小規模個人再生手続と共通です。清算価値以上とは、ようするに、破産によって債権者らが配当を受ける額よりも多く弁済することです。なお、破産の場合には財産は処分されて、その価格が債権者に配当されます。問題となるものとして退職金がありますが、退職金は一般的に高額であるため、将来受け取ることになる退職金についても財産に含まれます。しかし、将来受け取ることになる退職金については、退職金を受け取るまでに懲戒解雇される可能性もあり、また、会社が倒産する可能性もあり、さらに、その他の理由により退職金を受けるとることができない可能性もあるため、退職金の評価方法は全額ではなく8分の1の額等になります。その後、退職金を受けとった場合には現金になりますので評価方法はその金額になります。退職金の額については会社に確認する必要があるため、場合よっては、会社に対して個人再生を行う予定であることが知られてしまう可能性もあります。なお、破産の場合も退職金は財産に含まれるため同様に破産する予定であることが会社に知られてしまう可能性があります。

 住宅資金特別条項の概要

■ 住宅資金特別条項の概要
 住宅資金特別条項とは、民事再生法の住宅資金貸付債権に関する特則に基づき再生計画に規定される条項であり、再生計画に住宅資金特別条項を設けることにより債務者が一定の住宅ローンを有する場合には当該住宅ローンは再生債権から除かれて債務者はこれまで通りの返済を続けることも可能となります。これにより、債務者は住宅を手放さずにすみ、もって、債務者の生活再建へとつながります。なお、住宅資金特別条項は個人再生だけでなく通常再生にも適用される規定です。
 個人再生の破産と比べての大きなメリットは、住宅資金特別条項により住宅ローンを支払い続けることによりもって自宅を維持できる点です。破産の場合には自宅は処分換価されて債権者に配当されたり、抵当権等の別除権が付いている場合には抵当権の実行により競売にかけられたりします。しかし、破産の場合には個人再生の場合と異なり、債務は一部でなく全部免除されます。そのため、処分される財産がないような場合には個人再生よりも破産の方が債務者にとってはメリットと考えせられます。そのため、個人再生の場合には自宅を維持できなければ債務者のメリットは破産の場合よりも低いことになりそうです。そもそも、住宅ローンを組んで自宅を購入するためには、その自宅及び敷地に抵当権が設定されることが一般的です。そして、抵当権は別除権のため再生手続を無視して実効することが可能です。そのため、住宅資金特別条項により住宅ローンについては特別にこれまで通りに返済可能とする必要があります。
 そもそも、普通の家財道具等は中古品扱いのためほとんど価値はなく、また、最低限の生活に必要な家財道具は破産の場合にも処分されないので、破産する場合に気がかりとなる財産はやはり自宅ということになります。そして、個人再生の住宅資金特別条項を利用して自宅を維持することができれば、この場合には破産よりも個人再生の方がよりよい選択と言えそうです。しかし、自宅がない場合には、個人再生の場合には債務の一部免除されるのに対しては破産の場合には債務は全部免除されるため破産の方がよりよい選択と言えそうです。しかし、少なくとも個人再生は一部免除されるとはいえ債務を返済することになるので個人再生ならばよいが破産はよくないとする人もいるかもしれません。そのため、個人再生と破産の選択はケースバイケースで個別具体的に考える必要があります。 

 住宅資金特別条項の種類

■ 住宅資金特別条項の種類
 法律が定める住宅資金特別条項の種類には、@期限の利益を回復してこれまでと同じように支払い続けていくもの、A当初の契約通りにこれまで通りに支払い続けていくもの、B最終弁済期を延長してリスケジュールするもの、C元本の支払を一定期間猶予するもの、D住宅ローン債権者の同意・合意を得たうえで契約内容を変更するものがあります。
 基本的には、本来の契約通りに住宅ローンを返済をするべきだと考えられますので@期限の利益を回復してこれまでと同じように支払い続けていくもの、A当初の契約通りにこれまで通りに支払い続けていくものが原則だと考えられます。その上で、本来の契約通りに住宅ローンを返済することが困難な場合にリB最終弁済期を延長してリスケジュールするものやC元本の支払を一定期間猶予するものを利用することになると考えられます。そして、さらに、本来の契約に従った住宅ローンの返済が無理な場合にはD住宅ローン債権者の同意・合意を得たうえで契約内容を変更するもを利用することになると考えられます。けだし、当事者間の合意があれば期限を猶予することや利息を免除することはおろか、さらには、元本を免除することすら可能だからです。さらに、住宅ローンについては返済を怠ったことがなく期限の利益を喪失していなければ、可能であるならば、手続の申立後も弁済許可を受けて住宅ローンの返済を行い、再生計画に基づく返済においても当初の住宅ローンの契約通りの額を返済することも可能です。
 具体的には、@期限の利益を回復してこれまでと同じように支払い続けていくもの、A当初の契約通りにこれまで通りに支払い続けていくものは滞納分を返済して本来の契約通りの返済を行う方法です。次に、B最終弁済期を延長してリスケジュールするものは返済期間を見直す方法です。そして、C元本の支払を一定期間猶予するものは、一定期間は元本の返済の猶予を受けて弁済間を延長する方法です。最後に、D住宅ローン債権者の同意・合意を得たうえで契約内容を変更するものは当事者間において返済額や返済方法等を自由に決めることができる方法です。
 なお、住宅資金特別条項の効力は、住宅ローンの連帯債務者や保証人等にも及ぶため、いかなる種類の条項を選択するかについては、これらの者の意見も欠かせません。 

 住宅資金特別条項の手続

■ 住宅資金特別条項の手続
 まず、住宅資金特別条項を定めた場合際の住宅資金貸付債権の債権者の債権は減額されないため、住宅資金貸付債権の債権者は再生計画については同意権を有しません。しかし、再生計画が提出された際には住宅資金貸付債権の債権者の意見を聴取しなければならず、また、住宅資金貸付債権の債権者は再生計画に対して意見を述べることができるとされてます。しかし、同意権がないとはいえ住宅資金貸付債権の債権者の意見を無視した再生計画は認められないと考えられます。
 次に、再生計画が債権者の同意等により可決された場合には、裁判所は再生計画についての認可等を行います。その際の不認可事由については、住宅資金特別条項を定めた場合には定めてない場合と比べて若干異なります。すなわち、再生計画が法律に違反する場合や清算価値原則に違反する場合等には不認可となることは住宅資金特別条項を定めた場合も定めてない場合も同様ですが、住宅資金特別条項を定めてない場合には再生計画が遂行される見込みがない場合に不認可となるのに対して、宅資金特別条項を定めた場合には再生計画が遂行可能と認めることができい場合と要件が加重されています。けだし、住宅資金特別条項を定めた場合には債務者の負担が重くなり履行可能性に問題が生じるからです。
 さらに、個人再生の効力は保証人や物上保証人等には及ばないのが原則ですが(債務者の債務が一部免除されても保証人や物上保証人の債務は一部免除されません。保証人や物上保証人も個別に破産や個人再生等の手続をとる必要があります)、住宅資金特別条項の効力は保証人や物上保証人にも及ぶとされています。
 最後に、住宅資金特別条項を定めた再生計画が認可されて住宅資金特別条項に基づく債務の履行を始めたがその後返済が滞ってしまったような場合には住宅資金付債権の債権者は再生計画の取り消しを求めることができないとされています。住宅資金付債権の債権者でないさ一般の債権者は一定の場合には再生計画の取り消しを申し立てることができるのと異なります。しかし、住宅資金付債権には抵当権が設定されているのが通常のため、住宅資金付債権の債権者は抵当権を実行すればよいため格別不利益というわけではありません。そして、債務の返済が滞ってしまった場合には、債務者は再生計画の変更や破産の申立てを検討しなければならなくなります。

【個人再生/手続】


「司法書士 静岡県焼津市」

「焼津港」静岡県焼津市

焼津港」静岡県焼津市

谷中和志司法書士事務所・焼津版
 焼津市・榛原郡吉田町・牧之原市・御前崎市・掛川市

  債務整理・相続登記・不動産登記・商業登記・遺言書作成・成年後見・その他司法書士業務