昔、作成した個人再生の原稿です。このサイトは原稿の保管用のサイトです。



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 個人再生の申立費用

■ 個人再生の申立費用
 個人再生の費用としては、印紙代・郵券代及び官報公告費(予納金)、さらに、個人再生委員が選任される場合には予納金が必要になります。さらに、自分で手続を行う場合以外には書類を作成する司法書士に対する報酬が必要になります。報酬額については決まりはないので各司法書士事務所により異なります。さらには、報酬の支払方法についても様々であり、着手金として全額支払う必要がある場合もあれば、分割払いの後払いでよい場合もあります。そのため、司法書士に個人再生を依頼する際には、費用については事前によく確認することが重要です。個人再生の費用の具体的な金額としては印紙台が1万円であり破産の場合と比べて高額ですが、やはり費用においては十から数十万円かかる司法書士報酬や個人再生委員が選任される際の予納金が大きな比重を占めます。こうしてみると、個人再生を行う際には数十万円の費用が必要になりますが、個人再生を行う際には毎月の債務の返済が困難になっていることがほとんどであり、毎月の生活費等を支払うだけで精いっぱいになっていることが多く、また、預金ともない場合が思いますので、高額な費用の支払は困難です。そこで、個人再生を行うに当たっては、かかる高額な費用をどう工面するかが大きな問題となります。
 1つの方法としては、法テラスの民事法律扶助サービスの利用が考えられます。法テラスの民事法律扶助サービスとは、収入や財産の乏しい人に対しても裁判所のサービスを利用できる機会を与えるものです。そして、収入や財産の乏しい人が陥りやすいトラブルとしては借金問題が多いことから法テラスの民事法律扶助サービスの利用については破産や個人再生の案件が極めて多いようです。確かに、債務整理については任意整理と特定調停、破産、個人再生とがありますが、借金問題については多重債務であることが多く、任意整理や特定調停の案件は過払い金返還請求と重なることが多くあります。そして、ある程度返済していれば過払い金が発生し、過払い金が発生していれば、過払い金返還請求については「着手金0円」「受任時には費用は一切かかりません!」等を謳っている司法書士事務所も多くあることから任意整理や特定調停について法テラスの民事法律扶助サービスを利用することはあまりないと思われます。もっとも、最近では貸金業者が利息を下げたことから過払い金は発生せず、また、過払い金返還請求の案件自体も減少していることから任意整理や特定調停についても民事法律扶助サービスを利用する案件が多くなるかもしれませんが、現在のところは、民事法律扶助を利用する案件は、破産や個人再生の場合だと考えられます。そのため、個人再生の手続に当たっては、法テラスの民事法律扶助サービスの利用を検討するのも一つの方法です。

 個人再生手続概略

■ 個人再生手続概略
 個人再生手続は、個人を対象にした再生手続であり、債務額も5000万円以内と制限されています。なお、債権額には住宅資金特別条項の適用対象となる住宅ローンや再生手続きとは関係なく実行できる抵当権等の別除権が付いた債権は除外されます。個人再生手続には小規模個人再生手続と給与所得者個人再生手続とがあります。個人再生手続のメリットとしては、住宅資金特別条項により、特に住宅ローンについては一部免除されずにこれまで通りに返済を行うことができるため住宅を維持できる点です。さらには、破産手続きを利用した場合には処分せざるを得ない財産だが、処分すると生活再建に支障がでるような財産があるような場合にも個人再生手続を利用するメリットはあります。
 個人再生手続においては、通常再生手続の場合と同様に債務者の弁済は禁止されますが、債権者は債権者一覧表の債権額等に異議がない限りは債権届出をする必要がなく、債権者一覧表により届け出たものとみなされます。そのため、債権者による債権の届出が必要とされている通常再生手続と比べて、債権の届出の点においては個人再生手続は手続が簡略化されています。次に、債務者は裁判所に対して再生計画を提出する必要がありますが、個人再生手続においては、再生計画おける債務の返済期間は3年以内とされています。これに対して、通常再生手続の場合には10年以内とされていますが、これは個人再生手続の場合には債務額が5000万円以内と制限されているためです。さらに、決議においても、通常再生手続の場合には債権者集会において再生計画が可決される必要があるのに対して、個人再生手続の場合には、小規模個人再生手続の場合には債権者の消極的同意で足り、さらに、給与所得者個人再生手続の場合には、同意すら不要となり、債権者の意見を聴くのみで足りるとされています。そのため、再生計画における認可決定においても、個人再生手続の方が通常再生手続の場合と比べて手続が簡略化されています。
 なお、個人再生手続における一番のメリットは、住宅資金特別条項により住宅ローンを支払い続けられる点ですが、住宅資金特別条項にも要件があるため、必ずしも認められない場合があります。その場合には、個人再生手続は諦めて破産手続きを検討することも必要となります。

 個人再生手続の選択

■ 個人再生手続の選択
 個人再生の種類には、小規模個人再生と給与所得者個人再生とがあります。
 小規模個人再生と給与所得者個人再生の違いとしては、その要件として前者は「継続的または反復継続して収入を得る見込みのあること」とされていますが、後者は「給与またはこれに類する定期的収入を得る見込みがあるものであって、かつ、その額の変動が小さいと見込まれる」と「かつ」以下の要件が加重されています。後者については「給与またはこれに類する定期的収入」と明確に規定されているので、会社員でない個人事業主等が利用するのは文言上も違和感がありますし、さらに、給与所得者個人再生の場合には再生計画による債務の弁済総額についても可処分所得の要件が追加されており、弁済総額が小規模個人再生と比べて多くなりがちのため個人事業主等が給与所得者個人再生を利用する実益は多くはありません。他方、会社員等の場合には給与が歩合制の場合もあり、場合によっては給与所得者個人再生の要件である「その額の変動が小さいと見込まれる」の要件を満たさない場合もあります。さらに、給与所得者個人再生は小規模個人再生の場合よりも弁済総額が多くなりがちのため、会社員等が給与所得者個人再生でなく小規模個人再生の手続を選択する実益もあります。そのため、会社員等は給与所得者個人再生だけでなく小規模個人再生の手続を選択することもできます。
 給与所得者とは、まずは会社員が思い浮かびますが、会社員といってもその雇用形態や職種はさまざまのため、給与所得者の要件が問題となりますが、そもそも個人再生の目的は再生計画に基づき原則として3年間に渡り少なくとも3ヶ月に一度以上返済を行うことを目的とするため、給与所得者については、その雇用形態や職種よりも、給与所得者の要件である「給与またはこれに類する定期的収入を得る見込みがあるものであって、かつ、その額の変動が小さいと見込まれる」の要件が重要になります。そのため、職種や雇用形態よりも、とにかく安定収入があり、かつ、「その額の変動が小さいと見込まれる」ことが必要になります。そのため、正社員だけでなくパート、アルバイトや派遣社員等であっても安定収入があり、かつ、「その額の変動が小さいと見込まれる」のであれば、小規模個人再生だけでなく給与所得者個人再生の手続も可能かと考えられます。もっとも、先に述べたように小規模個人再生と給与所得者個人再生とでは前者の方がメリットが大きいため、小規模個人再生手続の利用が可能ならばそちらを利用すべきだと考えられます。問題は最低弁済額がとれくらいになるかです。そのため、最低弁済額が低くなる手続を選択するのが賢明です。

 小規模個人再生の要件

■ 小規模個人再生の要件
 小規模個人再生手続においては、再生計画が認可されるためには債権者の同意が必要になります。もっとも、この同意は消極的過半数同意で足ります。債権者の消極的過半数同意とは、債権者の同意は不要だが、反対しない債権者が債権者総数の半数に満たず、かつ、その議決権の数が総議決権の過半数を超えないことが必要だということです。ようするに、債権者の半数が個人再生に反対しないことです。他方、給与所得者個人再生においては債権者の同意は不要とされています。しかし、給与所得者個人再生手続においては安定収入の要件において変動が少ないことが必要とされるため小規模個人再生手続よりも要件が加重されていますし、さらには、返済総額の要件として可処分所得の要件も加重されているため、返済総額が小規模個人再生手続よりも大きくなる可能性があります。そのため、債権者が反対しそうにないのならば、小規模個人再生手続の方がメリットは大きいです。その上で、債権者が1社のような場合には、その1社が個人再生手続に同意しないような場合には手続が否決されてしまうため、このような場合には給与所得者個人再生手続を利用するメリットがあります。また、小規模個人再生手続においては決議は書面決議により行われます。なお、議決権者には住宅資金特例条項の住宅ローンの債権者は含まれません。けだし、住宅ローン債権者に対する債務は免責されないからです。しかし、住宅ローン債権者も個人再生に関心を有する者であるため、宅資金特例条項の住宅ローンの債権者については意見聴取が行われることとなっています。
 なお、小規模個人再生手続の最低弁済額については、給与所得者個人再生手続と同様に清算価値以上とされています。この清算価値以上とは、ようするに、破産によって債権者らが配当を受ける額よりも多く弁済することです。なお、破産の場合には財産は処分されて、その価格が債権者に配当されます。けだし、再生の趣旨は、全財産を処分してそれを全債権者に配分した上で残りの債務を免除するよりも、財産は処分せずに一部免除した上で残りを返済させるのが、債務者にとっては生活再建をかかりやすく、かつ、債権者にとっては利益になるからです。にもかかわらず、破産した場合よりも配当額が低くなるのは債権者にとって意味のないことであり、むしろ不公平な結果となるからです。

 小規模個人再生の効果

■ 小規模個人再生の効果
 小規模個人再生手続おいては、手続が開後、期間内に再生計画を作成してそれを裁判所に提出する必要があります。そして、再生計画においては弁済額等の条項を記載します。小規模個人再生において最も気がかりになることは、返済がいくらになるかです。最低弁済額は法定されており、それによれば小規模個人再生手続の場合には、債務の5分の1以上もしくは100万円であり、かつ、清算価値以上であることが要件とされていますが、あくまでも最低弁済額のためそれ以上の支払を行うことのできる余力のある場合にはできる限りの支払をする必要があります。そもそも、そうでなければ債権の一部がカットされる債権者は納得しません。そして、再生計画については小規模個人再生手続の場合には債権者の消極的同意による可決がなされます。なお、小規模個人再生手続も給与所得者個人再生手続も同じ個人再生手続のため基本部分は共通します。そのため、例えば、別除権についてはどちらの手続であっても手続を無視して実効される可能性があります。
 すなわち、別除権は再生手続を開始した場合も行使可能です。すなわち、担保権を有する者はその目的物について別除権を有するため再生手続を無視して担保権を実行することができます。別除権の典型的なのは抵当権です。その他のものとして、自動車等の所有権留保等も別除権に含まれます。もっともそのためには抗要件を備えることが必要です。よくありそうなのが、ローン返済中の自動車です。ローンを組んで自動車を購入した場合には、ローンを完済するまで自動車の所有権をディーラー等に留保しておく所有権留保がなされることが多くあります。そして、所有権留保の実質は自動車の代金を担保することにあり、その意味では担保物権である抵当権等と同様のため、所有権留保も別除権となり得ます。もっとも、別除権になるとしても、個人再生手続においては、別除権として主張するためには債権者は対抗要件を備える必要があるため、普通自動車においては登録、軽自動車においては占有等を備えておく必要があります。なお、占有には現実の占有だけでなく占有改定等も含まれます。また、リース契約においても、その実質が毎月のリース料金を担保するものであれば、それは担保物権である抵当権と同様のため、リース料も別除権となり得ます。なお、別除権付き債権は担保不足額を確定しなければ弁済を受けることはできません。しかし、担保不足額を確定するのは困難です。そのため、別除権付き債権は、別除権の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる額を基準として再生債権に含めることになります。見込額は被担保債権から不動産の評価額を引いて計算しますが、そのための方法としては、固定資産税の評価額等を参考にしたり、見積もりをとってみたりして評価する方法が挙げられます。

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