昔、作成した個人再生の原稿です。このサイトは原稿の保管用のサイトです。



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 個人再生と「倒産」

■ 個人再生と「倒産」
 経済的に破綻することを倒産といいます。一般的に倒産とは会社が潰れてしまいなくなってしまうことがイメージされますが、会社がつぶれてなくなってしまうことは倒産には違いありませんが倒産のうちの破産・清算です。会社が存続している場合にも倒産はあり得ます。再生がそれです。破産は全財産を処分してその対価を全債権者に公平に分配して残りの債務は免除してもらう手続ですが、再生は債務の一部を免除してもらって経済的再建を図り残りの債務の返済を行う手続です。
 破産とは、財産を処分換価してそれを債権者に公平に分配する破産手続と、その後全債務が免除される免責手続きにより構成されます。破産を行うに当たっては裁判所に対して申立てを行う必要があります。破産に限らずほとんどの裁判所に対する申立て手続は書面により行います。この裁判所提出書類作成は司法書士の業務範囲に含まれます。そして、破産には処分するほどの財産がない場合には同時廃止事件により手続は簡略にすみますが、自宅等の処分する財産がある場合には管財人事件としてその自宅等の財産を売却等により処分する必要があるため手続は複雑になります。なお、自宅等は生活の基盤となるものであり生活を再建するためには必要不可欠のものですが、一般的に不動産は高額であり、破産の場合には財産を処分して債権者に配分する必要があるため自宅を維持することは困難です。
 再生とは、破産の場合とことなり財産を処分せずにすみ、その財産を利用して債務者が経済的に再建することを可能とした手続です。そのため、破産と異なり財産を処分することは免れますが、免責については破産が債務の全額を免除されるのに対して債務の一部が免除されるのにとどまります。再生の場合も破産の場合と同様に裁判所に対して申立てを行う必要があります。そして、この裁判所提出書類作成は司法書士の業務範囲に含まれます。手続としては、通常の再生手続においては、まず、債務者の弁済は禁止され、債権者は債権届を行い、その後、再生計画が作成され、その再生計画が債権者集会で承認されれば、再生計画は認可決定され、債務の一部は免除されます。なお、返済期間は10年以内とされています。
 なお、個人再生は通常再生の特則であり、通常再生と同様に民事再生法が適用されるため、債務者は両手続の選択が御能ですが、個人再生の方が手続が簡略化されているため、個人再生の利用が可能な場合には、よほどの理由がない限りはあえて通常再生を利用するメリットは低くなります。

 個人再生の要件

■ 個人再生の要件
 債務者は期間内に再生計画を作成して裁判所に提出する必要があります。期限内に提出できい場合には手続の廃止決定を受ける恐れがあります。再生計画の内容は、債権者の権利の変更について、及び、債権の弁済についての条項を設ける必要があります。また、弁済額は最低弁済額以上の必要があります。すなわち、小規模個人再生手続の場合には、債務の5分の1もしくは100万円以上であり、かつ、その金額が清算価値以上である必要があります。給与所得者個人再生の場合には、さらにその金額が可処分所得の2年分以上であることが必要とされます。そして、再生計画に基づく弁済は自力で行う必要があります。原則として親族の援助は認められません。また、債務者以外の者が保証人になったり担保を提供することも認められてはいません。ようするに責任逃れは許されません。さらに債務の弁済についての条項は各債権者において平等になる必要があります。ようするに、偏頗的な弁済は許されません。そのため、返済額については十分すぎるほど検討して再生計画を作成する必要があります。また、税金等については免除されません。再生計画を立てるに当たっては税金等の支払方法等について検討することが不可欠です。そのため、税金等の支払については事前に役所等と減免や猶予、分割払いの協議等を行うことが不可欠です。
 再生計画案が可決等されると裁判所は再生計画を認可します。そして、認可決定が確定すると権利は変更され、すなわち、債務が一部減額され、原則3年の分割払いとなります。もっとも、再生計画には不認可事由があるため、再生計画の作成には注意が必要でする。再生計画が不認可される場合としては、@法律違反の場合、A支払が遂行される見込みがない場合、B再生計画案の決議か不正な方法で可決された場合等です。また、そもそも個人再生の要件である債務総額が5000万円以下等の要件や最低限債額の要件を満たさない場合等にも認可はされません。
 再生計画に基づき一部免除された債務は原則として3年間の分割払いで返済することになります。なお、特段の事情があれば3年を超える分割払いも認められます。3年以上の分割払いの場合には法律上「特段の事情」が必要とされていることから、3年以上の分割払いを行えるということは債務者の当然の権利ではありません。そのため、最初から「5年間の分割払いなら払払うつもり」と決めつけるようなことはせず、3年間の分割払いが無理そうな場合には、自己破産の手続も検討するのが一つの方法です。

 個人再生の効果

■ 個人再生の効果
 債務者は期間内に再生計画を作成してそれを裁判所に提出する必要があります。そして、それが可決等され、さらに、裁判所において再生計画が認可決定され、それが公告され確定すれば手続は終了し、その後は計画に従った返済を行っていくことになります。しかし、返済が滞った場合には、債権者の申立てにより計画が取り消される恐れもあります。もっとも、全ての債権者に取消権が認められているわけではなく、債務者が再生計画の履行を怠ったことを理由に再生計画の取り消しを求めることのできる債権者は、再生計画により認められた権利の全部について裁判所が評価した額の10分の1以上に当たる権利を有する者であり、さらに、有している履行期限が到来した債権の全部または一部について履行を受けていない者に限られます。しかしながら、そもそも、最初から返済することに無理があったのならば、最初から破産を検討するのも一つの方法です。
 さらに、再生計画に基づく債務の返済が困難になった場合には再生計画の変更やハートシップ免責等があります。まず、再生計画の変更については当然のことながいったん決めた再生計画を変更するわけですので、簡単に変更することはできず変更には厳格な要件が課されています。すなわち、再生計画の認可後にやむを得ない事由で再生計画を遂行するのが著しく困難になった時に債務者の申立てにより再生計画で定められた債務の最終期限から2年以内の範囲で債務の期限を延長することができるとされています。このように「著しく」や困難」といったような厳格な要件が課されておりであり、また、変更の際にも返済額の減少は認められず、期間の延長も2年以内でととどまります。そのため、やはり、再生計画に基づく債務の返済が滞った場合には無理せず破産を検討するのも一つの方法です。次に、ハードシップ免責については、再生計画に基づく返済が滞った場合には一定の債権者の申立てにより再生計画は取り消されますが、このような場合にも一定の場合には債務者は免責の申立てを行うことができるとされています。その要件としては、事故や病気、勤め先の倒産といった債務者の責めに帰することのできない事由により再生計画の遂行が極めて困難になった場合であり、さらに、再生計画における債権の4分の3以上の額の弁済が終わっており、そして、免責決定が再生債権者の一般の利益に反するものでなく、加えて、再生計画の変更が極めて困難であることが必要になります。そのため、要件はかなり厳格です。
 総括すれば、個人再生の申立てを決めた日から後日の支払に備えて毎月の積み立てを行い、もって支払可能性をテストし、それを元に再生計画を作成するのが賢明です。

 個人再生と「可処分所得」

■ 個人再生と「可処分所得」
 可処分所得とは、「収入-社会保障費-政令で定める生活費」です。ようするに、可処分所得とは、自由に使えるお金のことです。可処分所得の計算においては、生活費が高ければその分支払額も減少しますが、生活費が低ければ支払額は増加します。そのため、家族がいるか否か等が支払額に大きく影響します。なお、可処分所得の計算における生活費の金額は政令で決められており現実に必要となる生活費とは異なります。そのため、場合によっては返済するのが厳しい金額とになる場合もあります。そして、可処分所得は給与所得者個人再生手続において弁済総額の基準となり、可処分所得の2年分以上が最低弁済額となります。
 小規模個人再生手続においては、最低弁済額は債務の5分の1か、もしくは、100万円以上とされており、さらに、清算価値超過であることが要件とされているにとどまりますが、給与所得者個人再生手続においては、これらに加えて、さらに、最低弁済額は可処分所得の2年分以上であることが必要とされており要件が加重されています。けだし、最低弁済額の要件が加重されている反面、給与所得者個人再生においては手続開始の要件として債権者の同意が不要とされているため、債権者の同意を不要としても不公平とならない程度の返済をさせる債務者にさせる必要があるからです。そのため、一般的には最低弁済額は可処分所得の2年分以上と要件が加重されている給与所得者個人再生手続の方が金額が高くなります。
 総括すると、可処分所得は民事再生法241条3項の額を定める政令等に基づき計算して算出されるため、家計は赤字でなくとも、可処分所得の計算上はマイナスになるような場合もあります。また、扶養家族が多ければその分可処分所得も減少しますが、扶養家族がなく、かつ、収入が多い場合には可処分所得は多くなります。このような場合には、給与所得者個人再生よりも小規模個人再生を選択した方がよい場合もあります。なお、給与所得者は、給与所得者個人再生と小規模個人再生とを選択することが可能です。
 なお、収入が減り、それに伴い可処分所得が下がれば最低弁済額も減少しますが、給与所得者個人再生には、要件として、安定的収入かつ変動が少ないことが必要であるため、収入の減少は「変動が少ないこと」の要件を満たさなくなる恐れがあるため注意が必要になります。

 個人再生委員

■ 個人再生委員
 個人再生委員の職務は、債務者の財産や収入を調査し、債権の評価に当たっては裁判所を補助し、さらに、債務者が適正な再生計画を作成するように勧告することと法律により規定されています。個人再生委員は全ての案件において選任されるものではなく各裁判の基準や判断とうにより選任されます。個人再生委員が選任される場合には個人再生委員に対する報酬が必要になるため、個人再生の手続を申し立てた債務者はそれを予納金として裁判所に納める必要があります。金額は十数万円から数十万円になります。なお、予納金を納めることができなければ手続は行われません。そのため、個人再生委員が選任されるか否かは債務者にとって重要な関心事となります。
 個人再生委員の具体的な職務については、まず、財産や収入の調査として、債務者に報告を求めたり書類等を検査することができるとされています。そして、財産隠し等により財産目録等に虚偽記載があった場合には、個人再生委員は手続廃止の申立てを行うことができるとされています。次に、債権について債務者や届出をした債権者から異議がなされたなされた場合には、異議をなされた債権者は裁判所に対して評価の申立てを行うことができますが、かかる評価の申立てがあった場合には、必ず個人再生委員が選任されるとされています。すなわち、個人再生手続の場合には通常再生手続と比べて手続が簡略化されているため、債権者は債権届出をする必要がなく、債務者が申立てを行った際に提出した債権者一覧表により、債権者は債権届出をしたものとみなされます。その上で、債権者(債務者も)は債権について異議を述べることができるとされています。そして、異議を述べられた債権者は期間内に債権の評価の申立てを行わなければならないとされています。この際に、個人再生委員は必要的に選任されます。そして、評価に当たっては、裁判所は選任された個人再生委員の意見を聞いたうえで、債権の存否やその金額等を決定するとされています。評価に当たっては、最後に、選任された個人再生委員は債権者に対して必要な資料を提出するように請求したりして裁判所を補助します。さらに、個人再生委員は、再生計画についその計画内容を判断し、それについて債務者に勧告できるとされています。 

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